計算ミスは「練習すれば直る」とは限りません。
大切なのは、ミスの原因を見つけ、それに合わせて対策することです。
「計算ミスが多いから、もっと計算練習をさせた方がいいでしょうか?」
小学生・中学生の保護者の方から、よく相談されることの一つです。
もちろん、計算練習は大切です。
計算方法を覚え、速く正確に計算できるようになるためには、ある程度の反復練習が必要です。
しかし、計算ミスをすべて「練習不足」で片づけてしまうと、なかなか改善しないことがあります。
大切なのは、
「なぜ、その子は計算を間違えたのか?」
を考えることです。
同じ計算ミスに見えても、原因は一人ひとり違います。
計算「が」できないのか、計算「で」間違えるのか
まず区別したいのが、この2つです。
例えば、
(中学生) 3x+2=15
(小学生) 3×⬜︎+2=15
という方程式があったとします。
解き方そのものが分からないのであれば、方程式についての理解や基本的な計算方法を復習する必要があります。
一方、
(中学生)
3x+2=14
3x=12
x=4
(小学生)
3×⬜︎+2=14
3×⬜︎=12
⬜︎=12 ÷ 3
⬜︎=4
という流れは理解できているのに、
- 12÷3を「3」としてしまう
- 前の行の数字を間違えて書き写す
- +2を引くところで符号を間違える
ということもあります。
この場合、計算の手順そのものが分からないとは限りません。
解き方は分かっているのに、計算の途中でミスが発生しているからです。
ここを区別せずに、方程式の問題を大量に解かせても、同じミスを繰り返す可能性があります。
計算ミスにはいろいろな原因がある
計算ミスを見つけたら、すぐに「もっと練習しよう」と考えるのではなく、まず答案を観察してみましょう。
家庭では、次の6つくらいに分けて考えると分かりやすいと思います。
① 計算方法を理解していない
例えば、
- 小数や分数の計算方法があいまい
- 計算のルールを理解していない
- 移項するときの符号を間違える
という場合です。
これは、基本的な知識や計算方法まで戻って理解する必要があります。
② 基本計算に時間がかかる
計算方法は分かっていても、一つひとつの計算に時間がかかることがあります。
例えば、
「7×8はいくつだっけ?」
と毎回考えている状態では、文章題や方程式を解くときにも、計算に多くの力を使ってしまいます。
この場合は、基本計算を短時間でも繰り返し、瞬間的に処理できる計算を増やすことが必要です。
③ 数字や式の書き方が乱雑になっている
意外と見落とされやすい原因です。
- 数字を小さく書く
- 式を詰めて書く
- 行間が狭い
- 「=」の位置がバラバラ
- 途中式をあちこちに書く
こうなると、自分で書いた数字や式に自分自身が惑わされます。
「字をきれいに書きなさい」ということではありません。
自分が見間違えないように書くことが大切です。
数字を少し大きく書く、行間を空ける、途中式を縦にそろえるだけでも、計算しやすくなることがあります。
④ 見直しの方法が分からない
「ちゃんと見直しなさい」
と言われても、子どもにとっては、
「何を見直せばいいの?」
となっていることがあります。
全部を最初から見直すのではなく、
「符号は合っている?」
「数字を書き間違えていない?」
「計算したところだけ確認しよう」
など、確認する場所を具体的にすることが大切です。
⑤ どこを見ればいいか分からなくなる
指導していると、数学の知識とは少し違うところでミスが起きているケースがあります。
例えば、文字式に数を代入する問題です。
a=3、b=−2のとき、2a−bの値を求める。
「aには3、bには−2を代入する」
ということは理解できています。
ところが実際に計算を始めると、
- どの数字を見ていたか分からなくなる
- aとbに入れる数字を逆にする
- 問題の別の数字を見てしまう
- 視線があちこちに移ってしまう
ということがあります。
この場合は、単純に計算問題を増やすよりも、
見る → 指す → 確認する → 書く
という動作を一つずつ行わせた方がよい場合があります。
例えば「a=3」の3から代入するaのところまで線を引く。
これだけで間違いが減るのであれば、計算力とは別のところに原因があると考えられます。
⑥ 一度にたくさんのことをしようとしている
文章題などでは、
「立式する」
「数字を覚える」
「計算する」
「次に何をするか考える」
という複数の処理を同時に行います。
そのため、式を立てるところまでは正しいのに、その後の簡単な計算で間違えることがあります。
その場合は、
式を立てる → 一度止まる → 計算する
と作業を分けます。
「全部頭の中でやろうとしない」ことも、計算ミスを減らす方法の一つです。
家庭では「間違えた問題」より「間違え方」を見る
お子さんが計算を間違えたとき、
「また計算ミスしているよ」
だけで終わらせず、少しだけ答案を観察してみてください。
家庭では、次のように考えるだけでも十分です。
① 解き方は分かっていた?
→ 分かっていなければ、基本に戻る。
② どこで数字が変わった?
→ 書き写しや代入のミスを確認する。
③ 書き方が見づらくなっていない?
→ 数字の大きさ、行間、途中式を見る。
④ どこを見ればよいか迷っていなかった?
→ 指差しや○印を使ってみる。
⑤ 急いだときだけ間違えていない?
→ まず時間を気にせず正確に解かせる。
これだけでも、
「計算が苦手だから間違えた」
という見方から、
「この子は、この場面で間違いやすい」
という見方に変わってきます。
計算ミスは「もっと注意する」だけでは直らない
計算ミスをすると、
「もっと集中しなさい」
「ちゃんと見直しなさい」
「落ち着いて計算しなさい」
と言いたくなります。
しかし、本人も間違えようと思って間違えているわけではありません。
必要なのは精神論ではなく、
どの場面で、どのようなミスが起きているのかを具体的にすることです。
そして、
- 基本計算が原因なら、基本計算を練習する
- 書き方が原因なら、書き方を変える
- 視線が迷うなら、見る場所を明確にする
- 確認方法が分からないなら、確認手順を決める
というように、原因に合わせて練習方法を変えます。
計算練習をたくさんすることが必要な子もいます。
一方で、計算練習の「量」ではなく「やり方」を変えた方がよい子もいます。
計算ミスを見ると、その子の勉強の仕方が見えてくる
計算ミスは、単なる不注意とは限りません。
答案をよく見ると、
「基本計算がまだ身についていない」
「途中式を書かずに頭の中で処理しすぎている」
「数字や式を整理して書けていない」
「見るべき場所が定まっていない」
「見直しの方法が分かっていない」
など、その子の勉強の仕方が見えてきます。
だからこそ盛岡個別予備校では、正解・不正解だけを見るのではなく、「どのように解いたのか」という過程を大切にしています。
計算ミスが多いからといって、必ずしも数学そのものが苦手とは限りません。
文章題の意味を理解できている。
方程式を立てることもできている。
解き方も説明できる。
それでも、途中の計算で点数を落としてしまう子はいます。
そのような場合には、
「もっと問題を解こう」ではなく、「どこで間違っているのか、一緒に探してみよう」
というところから始めることが大切です。
盛岡個別予備校では個別相談・体験指導を受け付けています。
普段使っている学校のワークや問題集、テストなどを見ながら、現在の勉強の仕方やつまずいているところを確認します。
「計算練習をしているのにミスが減らない」
「数学の解き方は分かっているのに点数につながらない」
「家でどのように練習させればよいか分からない」
という場合は、一度、実際の答案や計算過程から原因を整理してみると、次に取り組むべきことが見えてくるかもしれません。
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