〜「自分には価値がある」と「自分にもできる」を育てるために〜
「うちの子は自分に自信がない」
「テストで悪い点数を取ると、すぐに落ち込んでしまう」
「少し難しい問題になると、すぐにあきらめてしまう」
「どうせ勉強してもできないをすぐ口に出す」
お子さんの様子を見て、このように感じたことはありませんか?
勉強に前向きに取り組むためには、学力や勉強法だけでなく、自分自身をどのように捉えているかも大切です。
そこで知っておきたいのが、「自己肯定感」と「自己効力感」という2つの考え方です。
どちらも子どもの成長に関係していますが、意味は少し異なります。
今回は、自己肯定感と自己効力感の違い、年齢に応じた育て方、家庭での接し方、そして勉強を通じて自信を育てる方法についてお話しします。
自己肯定感と自己効力感は何が違うのか?
◆自己肯定感とは?
自己肯定感とは、簡単に言えば、「できることも、できないことも含めて、自分自身を大切に思える感覚」です。
例えば、数学のテストで40点を取ってしまったとします。
「今回は点数が悪かった。でも、それだけで自分がダメな人間というわけではない」
このように、失敗した自分も受け入れられることが、自己肯定感に関係しています。
◆自己効力感とは?
自己効力感とは、心理学者アルバート・バンデューラが提唱した概念で、「ある課題に対して、自分は必要な行動を実行できると思える感覚」のことです。
例えば、数学のテストで40点だった生徒が、
「計算問題を練習して、次は50点を目指してみよう」
「前はできなかった問題が解けるようになったから、次も頑張ればできそうだ」
と考えることです。
自己効力感は、単なる楽観的な気持ちとは異なります。自分が実際に取り組んだことや、できるようになった経験などを根拠にして、「自分にもできそうだ」と考えられることが重要です。
2つの違いを整理すると
| 自己肯定感 | 自己効力感 |
| 自分には価値がある | 自分にはできる |
| 自分自身を受け入れる | 課題に取り組む自信を持つ |
| 失敗しても自分を否定しない | 失敗しても改善方法を考えられる |
| 自分の存在や価値に関係する | 特定の行動や課題に関係する |
どちらも大切ですが、勉強においては、特に自己効力感を育てることが重要だと考えています。
自己肯定感と自己効力感は何歳から育てるべきか?
発達心理学の観点から考えると、自己肯定感につながる安心感や信頼関係は乳幼児期から、そして、自己効力感につながる「自分でできた」という経験は幼児期から育てていくことが大切です。
ただし、どちらも小さいうちに完成するものではありません。
小学生、中学生、高校生になってからでも、十分に育てていくことができます。
小学4〜6年生:小さな成功体験を増やす
小学校高学年になると、勉強が難しくなり、友達との成績の違いを意識する機会も増えてきます。
この時期に大切なのは、他人との比較よりも、自分自身の成長に目を向けることです。
例えば、算数の計算が苦手なら、毎日10分間、同じ種類の問題を練習してみる。
そして、1週間前と比べて、正確に解ける問題が増えたか、解く時間が短くなったかを確認します。
「前よりもできるようになった」
この経験を積み重ねることが大切です。
中学生:失敗の原因を分析して改善する
中学生になると、定期テストや実力テスト、高校入試など、結果を求められる機会が増えます。
そこで大切なのが、「できなかった」で終わらせないことです。
例えば、英語のテストで点数が悪かった場合、
- 英単語を覚えていなかったのか
- 文法を理解していなかったのか
- 英文を正確に読めなかったのか
- 時間が足りなかったのか
原因によって、必要な勉強は異なります。原因が分かれば、改善する方法も見つかります。
「英語が苦手だから仕方ない」ではなく、「ここを勉強すれば、次はできるようになるかもしれない」と考えられるようにしたいものです。
高校生:自分で目標を決め、実行する
高校生になると、勉強の内容も量も大きく増えます。
そのため、周囲から言われたことをこなすだけでなく、自分で課題を見つけ、目標を設定して勉強することが重要になります。
例えば、
「次の数学の定期考査で80点を取る」
という目標を立てたとします。
そのために、
「まず教科書の例題を解けるようにする」
「学校の傍用問題集のA問題を確実に解けるようにする」
「数日後に間違えた問題を解き直す」
といった具体的な行動を決めます。
そして、計画を実行し、できるようになったことを確認します。
こうした経験が、自分で学習を進める力と自己効力感につながります。
自己効力感を育てるために大切な4つのこと
心理学者バンデューラは、自己効力感に影響する主な情報源として、次の4つを挙げています。
① 達成経験:自分でやって、できた
4つの中でも、特に重視されるのが達成経験です。
例えば、
「昨日は解けなかった数学の問題が、今日は自力で解けた」
「英単語を繰り返し練習したら、以前より覚えられるようになった」
「苦手だった英語の長文を最後まで読めた」
こうした経験です。
ただし、簡単すぎる課題を繰り返すだけでは、十分な自信につながらないこともあります。
少し頑張れば達成できる課題を設定し、自分の力で乗り越えることが重要です。
② 代理経験:他の人の成功から学ぶ
自分と同じような状況にいる人が、工夫や練習によってできるようになる姿を見ることも、自信につながります。
例えば、同じように数学が苦手だった友達が、勉強法を変えて点数を上げたとします。
その取り組み方を知ることで、
「自分も同じように練習してみよう」
と考えられるかもしれません。
ただし、他人との比較によって劣等感を持たせないように注意が必要です。
③ 言葉による働きかけ:具体的に励ます
「頑張ればできるよ」
という励ましも大切ですが、それだけでは十分ではありません。
「前は途中で間違えていたけれど、今回は最後まで正確に計算できたね」
「英文の主語と動詞を見つけられるようになったね」
このように、できるようになったことを具体的に伝える方が、本人も自分の成長を理解しやすくなります。
④ 心身の状態:不安や緊張とうまく付き合う
テスト前に緊張したり、難しい問題を見て不安になったりすることは、誰にでもあります。
大切なのは、緊張することを悪いことだと決めつけないことです。
「緊張しているけれど、練習してきたことをやってみよう」
と考えられるようにすることも、自己効力感を支えます。
保護者が家庭でできる5つのこと
自己肯定感と自己効力感を育てるうえで、保護者の関わり方も大切です。
① 成績と子どもの価値を切り離す
テストで悪い点数を取ったとき、
「こんな点数ではダメでしょう」
と責めるのではなく、
「今回はうまくいかなかったね。何が難しかった?」
と声をかけてみてください。
結果を振り返ることは必要ですが、子ども自身を否定する必要はありません。
② 他人ではなく、過去の自分と比較する
「友達は90点だったのに」
という比較よりも、
「前回より計算ミスが減ったね」
という声かけの方が、本人の成長に目を向けやすくなります。
点数が下がったときでも、以前よりできるようになった部分がないか確認してみましょう。
③ 結果だけでなく、取り組み方に注目する
「90点を取ってすごいね」
だけでなく、
「毎日、間違えた問題を解き直していたね」
と具体的な行動にも注目します。
ただし、努力したことだけを褒め続ければよいわけではありません。
成果につながらなかった場合は、努力の方向や勉強法を一緒に見直すことも大切です。
④ 子どもが自分で決める機会をつくる
中学生や高校生になると、親がすべてを決めるのではなく、本人が考えて選択する機会も必要です。
「今日は何を勉強するの?」
と聞くだけでなく、
「今、優先して勉強した方がいい教科は何だと思う?」
「どこまでできれば、今日の勉強は終わりにする?」
と問いかけてみてください。
自分で決めて実行する経験は、自己効力感を育てる機会になります。
⑤ 失敗したときこそ、次の行動を考える
テストの点数が悪かったとき、最初から反省や改善を求めすぎる必要はありません。
まずは、悔しい気持ちや不安を受け止めることも大切です。
そのうえで、落ち着いてから、
「次は何を変えてみようか?」
と考えていきます。
失敗そのものよりも、失敗した後にどのように行動するかが重要です。
盛岡個別予備校の「基本を大切にする」指導
盛岡個別予備校では、生徒一人ひとりの目標や学習状況に合わせて、勉強する内容や優先順位を決めています。
指導で大切にしているのは、できなかったところを洗い出し、基本となる原理や決まりを再度理解し直すことです。
間違った原因を明確にし、取り組む内容を絞り込むことで、生徒自身が改善を実感できるようにしていきます。
最初からうまくできる人はそう多くはありません。うまくいかないときこそ、基本に立ち返ることが大事です。
小さな達成を、次の挑戦につなげる
勉強に苦手意識を持っている生徒ほど、最初から大きな目標を掲げるよりも、達成できる課題を明確にすることが重要です。
例えば、
「数学を得意にする」
という大きな目標を、
「今週は一次方程式の計算を正確に解けるようにする」
という具体的な目標に変えます。
それができるようになったら、次の課題に進みます。
こうした積み重ねによって、
「自分は数学が苦手だから無理だ」
という考え方から、
「今はできないけれど、練習すればできるようになる部分がある」
という考え方へ変わっていくことを目指します。
そのために、生徒一人ひとりの状況を見ながら、目標や勉強法を調整することが必要です。
お子さんの勉強に不安がある保護者の皆さんへ
自己肯定感や自己効力感は、短期間で急に高まるものではありません。
日々の生活や勉強の中で、少しずつ育てていくものです。
また、自己肯定感が低いから勉強ができない、自己効力感が高ければ必ず成績が上がる、という単純な関係でもありません。
大切なのは、お子さんの今の状態を正しく理解し、必要な支援を考えることです。
盛岡個別予備校では、小学生・中学生・高校生を対象に、学習状況や目標に合わせた個別指導を行っています。
「勉強しているのに成績が上がらない」
「苦手意識が強く、なかなか勉強に取り組めない」
「勉強法を見直して、もっと上を目指したい」
そのようなお悩みがあれば、ぜひ個別相談会や体験指導をご利用ください。
テストや模試の結果、普段の勉強の様子などを確認しながら、今できていること、これから改善すべきことを整理し、具体的な勉強法をご提案します。
勉強を通じて、「自分にもできる」という経験を増やしていきましょう。
【補足情報】
「自己肯定感」は研究によって定義が異なります。今回の記事では、保護者や生徒に理解しやすいよう、自分自身の価値を認め、失敗しても自分を否定しない感覚として説明しています。
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